歯科コラム
①虫歯って何?
虫歯ははるか昔の時代から人間を悩ませてきました。今の日本では、大人の八割以上に虫歯があるという統計が出ています。
虫歯になる原因は何かと聞かれたら、たいていの人は「甘いものを食べ過ぎる」「しっかり歯を磨かないから」などと答えることでしょう。
では、なぜ清潔にしておかないと、虫歯になるのでしょうか。甘いものが歯に悪いといわれるのはなぜでしょうか。
キーポイントは、ストレプトコッカス・ミュータンス菌という細菌です。いくら清潔な方でも、口の中にはたくさんの細菌が存在しておりいます。
統計によると、口腔内からは、約700種類の細菌(口腔細菌)が検出されており、歯磨きなどで口腔ケアが十分できている人でも約2000億個、十分でない人は約4000億~6000億もの細菌がすんでいます。
一方、お尻の腸管内の細菌数も口腔内にはほぼ同程度の密度で細菌が生息しているという文献もあります。
この菌が糖分からグルカンと酸の二つをつくりだし、歯を溶かしていく方向へ進んでいきます。
グルカンはネバネバしていて、歯に歯垢を付着させます。その歯垢がミュータンス菌のすみ家となり、酸が少しずつ歯を溶かして、虫歯になってしまうのです。
虫歯の進行はC1からC4に分かれ、エナメル質にとどまる段階はC1に当たります。
*Cというのは英語で虫歯をさすCaries(カリエス)の頭文字をとったものです。
C1は虫歯の初期段階で、歯の表面のなめらかさがなくなり、薄茶色や灰色の溝のような病変が現れます。硬度の高いエナメル質に少しずつ穴が開いていきます。
そのままにしておくと、エナメル質を突き抜けて象牙質まで侵され、C2になります。自分でもはっきりと黒く病変していることが確認できるでしょう。
C2の初期ならあまり痛みも感じません。
そして、象牙質の奥へと穴があくにつれて、冷たい水や熱い食べ物又は甘いものがしみるようになってきます。
やがて虫歯は歯髄にまで適して、C3に至ります。象牙質はエナメル質よりやわらかいので、C2から先へは速く進行するします。
C3は歯の中心部の歯髄にまで進んだ状態です。すでに表面のエナメル質や象牙質はひどく侵され、黒くて大きな穴があいています。
そして歯髄がおかされ、ズキズキと痛むようになります。これは歯髄炎を起こしている症状です。夜痛みがひどくなり、眠れなくなるのも特徴です。
それでも放置しておくと、最終段階のC4にまで進行します。目に見える歯冠の部分はほとんど失われ、根の部分だけが残るという、ひどい状態に陥るのです。